地震研究所

地震の研究
  東大の地震研究所は1923年9月1日の関東大震災の後の1925年に発足した。当初は文部省に属していたが、昭和になってから東大に移り、本郷キャンパス安田講堂の裏側にひっそりと位置していると思っていた。現在は農学部の北側に6,7階建ての1号館と2号館がある。M9クラスの地震にも耐える構造と言う。教授約25名、準教授以下研究員まで含めると200名にもなる大組織だ。

  ホームページの初めに次のような所長の挨拶が載っている。「地震研究所は,観測固体地球科学分野を中心とする先端的研究を推進し,地震・火山現象について新たな理解への道を切りひらき,災害軽減に貢献することを目指しています.これは、大正14年(1925年)の創立以来変わらぬ使命です.」。ところで、311災害に対して、どのように地震津波の軽減に貢献したのか知りたいと思って、調べてみたが、これに的確に答えられる人はいないみたいだ。

  それでは、公表されている重点プログラムを覗いてみると下記のように記載されている。「今後30年以内に地震発生確率が高い地域や、発生した際に甚大な被害が見込まれる地域を対象とした重点プロジェクトを実施する」として、
1.首都直下地震防災・減災特別プロジェクト
2.ひずみ集中帯の重点的調査観測・研究
3.東海・東南海・南海地震の運動性評価研究
が挙げられている。驚くことに、三陸沖や東北地方は全く研究対象の視野にすら入っていない。人件費も込みで、おそらく年間300億円もの国費を使って、311のような1000年に1度と言われる地震に対して警戒警報すら出せないようでは存在する価値が問われかねない。

  それでは、民間の宏観異常現象を調べてみると、様々な報告が各地から出ている。3月4日の夜に、茨城県鹿嶋市の下津海岸で小型のクジラ「カズハゴンドウ」52頭が打ちあげられた。さらに、3月8日にはM4の地震があり、気仙沼では津波が観測され、養殖カキの棚が被害にあっている。川崎市仙台市ではカラスが3月8日ごろからどこかに消えてしまった。こうなると、地震学者はクジラやカラスよりも劣ることとなってしまう。それでも、さすがに観測網だけはかなりできているから、地震がどのようなメカニズムで起きたのか、後で講釈することだけはカラスよりも達者なものだ。

  日本にとって、首都圏を襲う直下型地震の予知は欠かせない。それには、クジラやカラスに頼るよりは、統計的なデータを見る方が少しは科学的であろう。安政の大地震1855年11月11日の午後10時ごろ、関東地方南部で発生したM6.9の大地震である。南関東直下地震であった。それから100年以内に再び地震が来るとの予報は、明治時代の後半には出されている。それが来たのが、1923年9月1日午前11時58分の関東大震災である。

   それから100年と言うと、2023年までに首都圏に何かが起こる可能性は誰も否定できない。最近になってしきりに地震学者たちが首都直下型の地震確率が高まっていると言うが、彼らに言われなくても誰でもそれくらいのことは言える。311もそうだが、全く科学的根拠はないが1日とか11日に起きているのも不思議だ。また統計的には、三陸の後は南海、その次が関東という順になるケースも頭に入れておきたい。未だ地震予知は動物や素人にしか出来そうもない。


震源断層の破壊過程http://outreach.eri.u-tokyo.ac.jp/eqvolc/201103_tohoku/#gmsource


*牧野日誌:福島原発状況の記録