デフレの話

デフレ論議
1.デフレ議論でよく間違うのは、個々の商品価格と物価水準を混同している事だ。商品価格の低下と物価の低下が同じなら実質的な価値は不変だ。給料で買えるものは増加するから、デフレは消費者には好ましい事だ。過去10年間、消費者物価上昇率は殆どゼロで安定しているからデフレスパイラルは存在しない。

2.デフレで実質賃金が上がると、企業収益は下がる。インフレによって実質賃金を下げて企業利益を増やす。インフレは実質的な賃下げをもたらす。安倍の政策は参院選挙対策で公共事業で一時的に好況を演出するだけだ。その結果はこれまでと同じで間違いなく財政赤字を増やすだけだ。

3.このまま国債を発行続けると、政府債務は20年後には2000兆円になる。これは国内では消化できない。ドル建て国債金利は急上昇して財政破綻する。つまり、許される財政赤字は現在の千と2千の間に限界値がある。欧州でもこの財政破綻と言うリスクをどの様に評価するかとの議論が起きている。

4.人口減少下で、成長を維持するには、労働生産性上昇率が人口減少率を上回らなければならない。日本は人口も労働人口も減少している。労働生産性が上がらなければデフレになるのは理の当然だ。潜在成長率の低下は日銀がカネを配っても解決しない。労働しない人口は2030年に労働人口の7割になる

5.次に、若者と高齢者の資産格差がある。個人金融資産の60%は60歳以上の高齢者が持っている。老人は消費も少ないし、投資もしないから経済が停滞するのは当然だ。解決するには、女性の就労と移民の受け入れだ。もう一つは労働生産性の向上だ。ところで、成長産業を育成することが可能なのだろうか。

6.成長産業とは自国に工場を持たないで、労働力のある海外に工場をもつアップルの例に象徴される。そうでないと競争力に勝てない。エネ産業でも、ドイツで太陽電池が中国製に席巻されたように、要素技術は海外に負けてしまう。残りは観光、医療、農業で大規模雇用とはいかない。公共事業も国の財政を危なくするものだ。

7.現在の日本人と米国人の食生活を世界中の人々が享受した場合、もう一つ地球が必要となる規模だ。資源は限られているのだから、全ての人々が有限の資源を分かち合って生きていくには、日本人の生活レベルを30%ほど縮小する事だ。それしか解決の手段は見つからない。日本は途上国と比べると、もう十分に成熟しているから少し生活のレベルを落としてもよい。余り景気の良い話にはまとめられなかった