評価の薄い記録 イチローと白鵬

白鵬イチローの共通点

    モンゴル出身の白鵬が日本の国技である相撲で62連勝を記録し、日本出身のイチローアメリカの国技であるベースボールで10年連続200本安打の記録を作った。両方とも賞賛すべき記録であり、一朝一夕に達成できるものではない。両者に共通していることは、残念ながら、本場のそれぞれの国では、あまり話題になっていないことで、評価の程度が高くはないことであろう。
    


    白鵬の4連覇は過去にも15人が達成している。最多は朝青龍の7連覇である。全勝で4連覇は特筆すべきことと思える。62連勝は第35代横綱双葉山の69、江戸時代中期に活躍した横綱谷風の63に次ぐ史上3位の記録である。次の場所で、白鵬は谷風と双葉山の記録を破る可能性はかなり高いと思うが、巷ではさほど大きな話題にはなっていない。年2場所時代だから双葉山は足掛け4年に亘って勝ち続けたことになるが、白鵬は好敵手朝青龍が引退してからの連勝で、しかもまだ半年しか経っていない。また暴行、麻薬、賭博事件で大相撲人気の低下もその原因となっている。
    

   前人未到の10年連続200本安打を達成したマリナーズイチローだが、本場での評価はあまり高くはないことは自分自身が一番良く知っているように思う。先日、200本目のヒットを打って1塁ベース上でのイチローは、何だか戸惑っているようだった。これは自ら喜ぶべきものではないと思っていたようだ。まずは野球とベースボールの違いがあり、米国では本塁打に比べて安打の価値は低く、ましてや内野安打なんてヒットではないという見方が強い。だからイチローはベースボールでは異端児としか見られていない。
    
   イチローの上をゆく記録を持つピート・ローズ氏は「3本のうち1本が内野安打というのは、彼は世界一幸運な男に違いない」と皮肉なコメントを出している。「単打しか打てないモスキート」と評したラジオ局もある。その根底には、「野球は米国のもの」という意識は格別で、露骨な差別はなくても、帰化もしていない日本人の活躍を認めたくない空気も存在している。幸い、アメリカ人のベースボールに対する愛着心と比べると、日本人の相撲に対するものはかなり低い。それでも白鵬双葉山の記録に追いつき、抜き去る時に、素直に拍手できる人はどれ位いるであろうか。
http://iiaoki.jugem.jp/
http://twitter.com/goroh