いま福島原発は

福島第一原発はどうなっているか
   3ヶ月目を迎えるので、現在、原子炉の中はどのようになっているのか推定してみる。1,2,3号炉とも炉心の温度は100度前後になっているから、冷却水に浸かっている安定した状態になっているものと思う。燃料棒のある反応炉は厚さ15センチ、それを取り囲む格納容器は厚さ6センチの鋼鉄でできている。地震発生と同時に制御棒が働き、核反応は停止したが、冷却水が来なくなった。この時の燃料棒の温度は2500度ぐらいと推定される。水がないから、徐々に燃料棒は制御棒と共に溶融はじめた。
  

   海水注入開始まで22時間もかかっているから、すべて融けて反応炉の底に崩れ落ち、炉の壁も一部融けて、格納容器にも落ちたと思われる。ここには水があるので、そのまま冷却されたであろう。マスコミはメルトダウンという言葉に取りつかれている。原爆と違って原発の燃料であるウラン235の濃度は3%程度だから、核反応を活発にするには表面積を増やさなければならない。だから燃料棒は細く長くしてある。融けて砕けてしまえば表面積が減るから、再臨界の可能性も少なくなる。


   1,2,3号炉とも同じような状態にあるだろう。このまま冷却続ける限りは大きな問題は起きない。当面、10万トンも溜まっている汚染水を浄化して、この水を冷却水として循環させるシステムが完成すれば冷温停止状態となる。使用済み燃料棒プールについても、同じように冷却水を循環させる装置を完成させる必要がある。水の浄化についてはアレバ社に頼るだけではなく、日本の技術をもっと使うべきだ。


   だいぶ地震津波で装置全体にガタがきているので、これについても補強工事を進めなければならない。また、水素爆発で破壊された建屋については、放射線やチリを防ぐテントで全体を覆う必要がある。これらすべての工事が進み、安定的な冷却システムが完成するのは来年の3月末ぐらいになるであろう。