国民の選択した民主党はなくなった

変革には時間がかかる
  江戸時代末期の1853年にペリー提督が浦賀に来てから、1868年の明治維新まで15年、さらにそれから1890年の憲法発布と国会開設まで22年もかかって、ようやく封建社会から脱皮して近代日本が誕生した。1945年の敗戦後から64年たって、2009年9月にようやく自民党支配の官僚国家から、脱官僚を目指す民主党政権が誕生した。


  新政権は脱官僚とは言いながら、強固に武装された官僚支配の霞が関城を崩すことは難しく、すでに厚労省国交省防衛省法務省などの大臣の言動を聞いていると、就任当初の勢いは失せて、いかにも官僚に取り込まれた発言が増えてきている。あちこちから「大臣、そうはおっしゃいますが・・・」というセリフが聞こえてくる気がする。初代の鳩山さんは、人がいいのか、たちまちのうちに官僚の仕掛ける罠にかかり、辞めさせられた。2代目のカンさんもいつの間にか官僚の言うままとなってしまった。

 
  一番に警戒していた小澤さんに対して、霞が関城の憲兵である検察庁は、なりふり構わず城の防衛に邁進し、新政権の最高の権力者に向かって次々と攻勢に出ている。これは2009年8月の選挙前から動き出していたことであるが、どうもこの攻撃が裁判では空振りに終わりそうな気配を察知して、第二の矢としては先の人も含めて3人の秘書団の逮捕となって表れた。検察もメンツがあるから、論告求刑で、推認とか、認められるという証拠なしで有罪としたが、9月26日の判決ですべて否認されるであろう。

  10年前の話を持ち出し、土地購入費用4億円は何が何でも企業からの献金としたいみたいだ。もともと野党時代の民主党には公共工事での職務権限がないから、いくらつめても賄賂性は出てこない。確かに帳簿上の記載に不具合があるのかもしれないが、カネには色がついてはいないから、購入代金がどこからきているのかを追及しても成算があるはずがない。問題の人が清廉潔白な人とは思わないが、億単位のカネで困るような人とも思えない。


  ここ数年、特捜検察の仕事では長銀事件、福島県知事事件、厚労省村木事件など空振りが目立ち焦りがあるのか、確証もなしに国会議員を逮捕したりしている。こんなことをしていたら、取り調べの可視化、検事総長の人事権どころか、特捜部は解散させられことになりかねないだろう。情報のリークどころか、強制捜査のときにはNHKをはじめとする各テレビ局に連絡して、タイミング良く映像を撮らせていることまで暴露されている。

   しかもカメラアングルで係員が颯爽と恰好よく映るように、曲がり角を歩く姿まで映させるという。道理で家宅捜査はタイミング良く映せるものと感心していたが、このようなヤラセの裏技にまで検察が配慮していたとは驚き以外の何物でもない。特捜部はこのような曖昧なことに無駄な税金を使うのではなくて、政権引き継ぎ時に官邸から消えた2.5億円の追求とか、1兆円にも達するかもしれない日航粉飾決算など確実にポイントを稼げるネタはいくらでもあるはずだ。


*参考:ネットEYEさんのブログ
NYタイムズでも紹介「旧勢力に揺すられる指導者」