新たな枠組み
世界は新たな枠組みへ
グローバルな視点
20世紀末の冷戦終結後、政府の最終形態は自由民主主義と言われていた。しかし、中近東からアフリカ北部に広がるアラブのイスラム系国家は、欧米中の社会とは異なるものと思われていた。ところがチュニジアのある街頭でのモノ売り青年が逮捕されたこときっかけとして、この地域の民主化革命が各国に伝播し、長年にわたり権力を維持してきた独裁者たちが消えてしまった。この流れはロシアやミヤンマーにも及び、残りは北朝鮮だけとなってきた。
民主化の動きは必然的に経済の自由化を促し、ロシアのWTOへの加盟、TPPやFTAなどの経済貿易連合への動きを加速させている。このことは必然的に新興国の発展につながり、GDPでは日本は中国に、ドイツはブルジルに追い抜かれてしまった。ドルとユーロの相対的な地位は下がり、特にユーロ圏は放慢財政で危機を招いた国の存在が、全体としての統一的運営を阻害してしまった。
国連の世界貿易機関WTOや環境国際会議COPなどで、台頭する新興国の発言力が強まり、もはやG8と称する先進国だけでは物事を決める力は失われている。以上のような状況の中で、今後の国際的な政治と経済の流れを見る視点は次のように整理される。
1.自由民主主義を目指す動きは不変である。
2.経済発展がすべての基礎で、モノ作りに長けた国は成長する。
3.いろいろな国際的連携で、新たな枠組みが生まれてくる。
4.ドルとユーロの力はまだ続く。
5.日本は発展する分野での規制を外すことで、さらなる地位を築くことができる。