英語公用語の問題

英語公用語
   英語を社内公用語にして社長自ら英語で挨拶しているのを聞くと、余りにも幼稚な言葉遣いで、これではかえってビジネスを失うのではないかと心配になる。やはり最も使いこなれた言葉で挨拶をし、仕事をする方が効率的だしカネ儲けにもつながると思う。言うまでもなく、言葉は目的ではなくてビジネスや旅行をするための手段だ。経済産業省の統計によると、昨年度、外国語会話教室に通った受講者数はほぼ1000万人で、会話学校の売上高はほぼ1400億円になるから、生徒1人当たり1〜2万円の授業料を払っている事になる。外国語といっても英語が95%超で、講師は9割がた外国人が占めている。そしてそこで勉強したからといって、英語が上達する保証はどこにもないことが問題だ。講師になる外国人も、母国で英語の先生になるための訓練を受けて資格をもって来日するわけではなく、金髪で青い目をしていれば、どんな英語を喋ろうとも無条件で採用されるという。日系で抜群の英語力を備えていても、日本での会話学校の先生にはなかなか採用されなかった米国人から聞いた話である。

   会話学校に無駄な投資をすることも問題であるが、中学から高校まで6年間も英語の授業を必須科目として勉強し、なお、大学へ入るための英語の試験まで通りながら、全く英語が口に出てこない日本式の英語教育こそ問題にすべきである。我々の世代では、外国語は読めるけれど、聞くこと、書くこと、喋ることは苦手と言う人がほとんどある。考えるまでもなく、これは嘘で、実際には読むことすらもあまり出来てはいないのである。言葉は目と耳からしか入ってこない。入ってこないものを書いたり喋ったりして出すことは出来ない。耳からは入らないし、後は目からしか入りようもないのであるが、実際には何も入ってこないものをアウトプットできるわけがない。


   最後に発音のことを申しておきたい。日本式の英語教育の欠点は発音記号にあると思う。辞書に出ている発音記号どおりに教室で言わないと、英語の先生に直されることになってしまう。この発音記号どおりにアメリカで発音しても全く通じないことを経験している人も多いと思う。メジャーに入ったある日本の選手が、誕生日を聞かれて「エイプリル」が通じなかったので、会話は諦めたと言っていた。直ちに発音記号なるものを廃止して、カタカナで実際に近い表現にすべきと思っている。日本からきた出張者が、NYでコカコーラを飲みたくなって、「コーラ」と注文すると必ず「コーヒー」が出てくると嘆いていたことを思い出す。これは「コーク」だからだ。最後に、アメリカで日本人にとって発音の難しい固有名詞を思いつくままに挙げておく。
* Orlando, Atlanta, Seattle, Detroit, Pentagon,  Manhattan, Connecticut