金属疲労

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金属疲労 ジェットコースターの事故
 吹田市の遊園地「エキスポランド」でジェットコースターの車両が脱線し、女性1人が死亡、19人が重軽傷を負った。原因の究明はこれからであるが、こういう場合、車軸の折れは大抵のケースでは金属疲労によるものと推測される。エキスポランドの保守点検のシステムが問われている。

Jet Coaster
 疲労は物体が力を継続的に、あるいは繰り返し受けた場合にその強度が低下する現象で、金属に限らず樹脂やガラス、セラミックスでも起こり得る。また、電圧や温度の継続的または繰り返し負荷によって絶縁耐力や耐熱性が低下する現象を指すこともある。

 金属材料が圧縮や引張の力を繰り返し長期間にわたって受けていくうちに、その固体に亀裂が生じたり、強度が落ちたりする現象のことを金属疲労という。そして亀裂がある程度進行していくと破壊が生じる。その亀裂発生のもとはといえば、応力集中や材料中の不均一などがあるが、特徴的なことは破断面に見られる破断の進展をあらわす貝殻上の模様である。

 19世紀の中ごろに、欧州で馬車や蒸気機関車の車軸が使用中に突然に破壊することから、構造物の設計技術者の意識に入り、20世紀前半に理論と試験方法が整備された。列車、航空機、自動車などの設計者にとって、重量やコストの負担を安全性の観点から如何にして軽減していくのかが最も頭を使うことである。

 疲労破壊を防ぐ予防策は、力を受ける部材を定期的に交換するか、あるいは定期的な検査において部材の微小な割れ目を検出したら、新しい部材に交換する手法を用いる。検出は目視、打音などの人力、超音波検査や浸透探傷検査、X線写真などの非破壊検査を用い、検出限界と設計の余裕から検査の頻度を規定することができる。

 金属疲労が関与した大事故例
・ 1842年: ヴェルサイユ列車事故(車軸の破損)
・ 1954年: DH106 コメット旅客機墜落事故(胴体の破損)
・ 1985年: 日本航空123便墜落事故(圧力隔壁の破損)
・ 1994年: 韓国聖水大橋崩落事故(鋼材接続ピンおよび溶接部の破損)
・ 1998年: ドイツ高速列車ICEのエシェデ列車事故(車輪外輪部の破損)
・ 2002年: 中華航空機空中分解事故(圧力隔壁の破損)