ふるさと納税

http://iiaoki.jugem.jp/

ふるさと納税の真実
 全国知事会議では都市と地方との格差是正が大テーマになっている。東京、愛知、大阪の大都市を抱える知事はこれまで手にしていた税収を手放すことを認めるわけにはいかない。しかし小泉改革で引き起こされた地方の疲弊は深刻で、このままでは福祉や医療すら切り捨てなければならなくなり、夕張市的状況の続出が懸念されている。

 そこで出てきた案が「ふるさと納税」で、大都市に住む個人は住民税の10%程度を生まれ故郷に納めることができる制度である。当然に地方で財政危機に直面している知事は積極的に具体案を提示して早期導入を総務省に出している。しかしながら、実際の話としてどれだけ効果があるのか疑問も多い。

 大都市に住む忙しい人たちが、このためにわざわざ税務署まで出かけて手続きの方法を聞いて、書類を作成して申告する人は余りいないであろう。個人住民税の10%は約1.2兆円であり、もしも1割の納税者がこの制度に賛成して手続きをしたとして、実際に生まれ故郷に動いていく総額は1200億円となる。全国の市町村総数は約2000ほどだから、各市町村へ回る金額は平均して6000万円程度である。手間暇ける割には、この程度の金しか動いていかない。

 財政再建というならば、大都市から税金を廻すのではなくて、もっと積極的に地方振興になるシステムを導入していくべきであろう。まず、人や企業が集まりやすくなる環境としては、生活や産業にとって必要なインフラコストをできるだけ引き下げることである。これを実現するためには、全国一律の法人税率を見直して、財政力の低いところには税率を安くしたり、有料道路なども料金を安くしたりすることである。

 税制からの優遇策で人や企業の動きを活発にすることは可能である。米国では消費税率は州によって異なるので、NY市からハドソン川を渡ってニュージャージ州で買い物をしたり、レストランで食事をしたりすることは普通のことである。こうしてNY市に集まる富を他に配分する仕組みができている。