冤罪

http://iiaoki.jugem.jp/

冤罪えんざい
 冤罪というのは国家権力による犯罪である。最高検察庁が相次ぐ冤罪や無罪事件を反省する報告書を公表したばかりであるが、どう見ても冤罪としか思えないような事件に対して東京高裁が一審の有罪判決を追認する判決を出した。御殿場少女暴行未遂事件である。刑事事件ではよく言われているように「疑わしきは被告人の利益に」という原則からしても、この事件には自白以外の何の物証も証拠も存在していない。しかも被害者の少女は犯行日すら、記憶していないで検察側では犯行日まで少女の証言で訴因変更をして、これを裁判所が認めた。


 検察側と裁判所側は国家権力に保護されているので、刑事事件では一審の判決を高裁でも殆どの場合には多少の変更はあるにしても、そのまま認めるのが普通である。これまでの冤罪事件は殆どの場合、最高裁判所まで行かないと決着がついてはいない。

 それにしても冤罪とは関係はないが、秋霜烈日、厳正厳格であるべき検察官や警察官の不祥事が多すぎる。東京から札幌へ異動が決まった検察官が事件処理を誤魔化すために、告訴取り下げ状を捏造した事件や、警視庁の巡査長が制服のまま女性の部屋で拳銃で無理心中を図ったことなど、世の乱れを象徴しているように思える。警察官の拳銃による自殺は昨年から10件目である。拳銃は国の財産であるから、自殺した警察官の遺族には損害賠償を請求すべきである。

 「予断を排し、虚心坦懐に証拠と向き合うことが必要である」と最高検察庁の報告書にあるが、何をいまさらこのような精神論を言っているのかと思う。検察や警察の組織全体の危機管理能力が問われている。2009年春には裁判員制度が導入されるが、検察官や裁判官の国家権力の横暴さに対して裁判員の良識が蟷螂の斧とならないことを期待したい。