トヨタ自動車

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トヨタ自動車
 1937年に設立されたトヨタ自動車は、創業70年にしてGM を抜いて世界一の生産台数942万台となる。1957年時点での生産台数が10万台前後であったのだから、実際にはここ50年でこの生産台数を達成したこととなる。50年前に米国へ輸出したクラウンはハイウエイを走行中に煙を出したという話を聞いている。その後、米国への輸出が増加して、1980年代には日米自動車貿易摩擦が起きた。これを契機として、日本の自動車メーカーは現地生産へと進展していった。
 
 自動車産業は乗用車1台の部品が3--5万点数であり、膨大な数の部品を必要なときに必要とされている部位に取り付けていく立体的なジグゾーパズルの組み立てみたいなものである。1台の乗用車の車体重量が1.5トンとすれば、およそその半分は鉄鋼材料である。したがって、自動車産業は鉄鋼産業の発展なくしては成り立ち得ない。

 昭和30年代--1955年--では、自動車産業には主として機械系出身者しか就職しなかっため、材料関係の技術者は車にはいなかった。その後、車の安全対策や防錆対策のために、車での材料関係の重要性が認識されるようになって、車へも材料技術者が増加していった。このような車体鋼板へのニーズに的確に呼応して行ったのが鉄鋼産業である。今では、東海地区の材料関係の大学出身者の半数はトヨタ系列の会社へと就職しているようだ。

 トヨタ自動車が米国、欧州、中国、東欧、ロシアと現地工場を建設して生産を開始するためには、鉄鋼をはじめとする材料がそろわないと、トヨタ生産システムを順調に動かすことができない。このために、日本の鉄鋼をはじめとする材料メーカーや部品メーカーも直接に現地へ進出するか、あるいは現地のメーカーに日本の技術を提供していかなければならない。かくして、日本の自動車産業の海外進出というのは、日本産業の海外進出と軌を一にしている。

 日本の鉄鋼産業が質量ともに世界一の地位を獲得したのが、1970年頃である。鉄鋼産業と表裏一体の自動車産業がその地位を得るのに、あれから40年経過している。その鉄鋼産業は、今では世界一の地位は譲ってしまったが、トヨタ自動車はその地位をどのように考えて、どのような方向へ経営を向けようとしているのか、まさにこれからが正念場でとなってくる。世界各地で生産されるトヨタ車としての価値を維持するには、品質と価格しかありえない。今後とも、世界一としての地位を維持するための挑戦は続く。