米ロ首脳会談

http://iiaoki.jugem.jp/

米ロ首脳会談 背景の武器産業
 国際政治の動きはなかなかつかみにくいものだが、米ロ両国の首脳がどのような動きをして、その背景に存在する共通するものを考えることで、ある程度は理解できると思う。APEC開催を機会として、両首脳の動きを分析してみると、その背景には両国の軍事産業とのつながりが両大統領を強力にバックアップしているように読み取れる。シドニーで開催されているAPEC首脳会議に出席しているブッシュ大統領プーチン大統領が会談して、東欧のMD配備で不協和音が出ていることに対して、双方の専門家をそれぞれに派遣してレーダー基地を視察することで合意したようだ。
 
 シドニーに来るまでに、それぞれ双方とも寄り道をしてきた。ブッシュ大統領イラクプーチン大統領インドネシアであり、前者はイラクで米軍兵士の激励と民主化のための戦いの継続を鼓舞してきた。後者はインドネシアで戦闘機や艦船など武器の売り込み商談をまとめてきた。

 お互いに世界の平和のために貢献しているようなことを表明しているが、平和のためとはいえ内実はそれぞれ国内の武器業者からの支援であることは明らかである。米国はアフガニスタンに続くイラクでの戦いで犠牲者も多く出している。しかし、この戦いはテロとの戦いという美名に隠されているが、武器産業が背後で支えているから、ここまで持ちこたえてきたし、大統領の背景にも武器商人が見え隠れしている。

 プーチン大統領の方はもっとあからさまにインドやインドネシアに対して武器の売込みを積極的に計っている。東欧でのミサイル防衛構想も米国の武器産業なくしてありえないし、これに対するロシアの対抗装置もロシアの武器産業のバックなしではありえない。米露双方は、冷戦時代のように緊張感を高めることで、お互いの国の武器産業育成の手段として利用しているのであろう。プーチン氏は来年5月、ブッシュ氏は来年11月には退く予定になっているが、それまでに、引退後のそれぞれの国内での影響力行使への布石を次々と打ち出している。

 テロ特別措置法延長問題で揺れている日本では、当然、このような国内の武器業者の介入する余地はない。しかしながら、インド洋での海上給油は、テロ撲滅という名の下で、アメリカをはじめとする国々の武器開発業者を支援していることに意を払わなければならない。