信玄と勘助

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武田信玄のドラマ
 信玄の参謀山本勘助を描いたNHK大河ドラマが毎日曜日に放映されている。信玄は信長が恐れた武将であり、家康が幕府の経営哲学を作成するのに参考にした戦略家であった。原作は井上靖の「風林火山」であるが、NHKのドラマでは相変わらずあまり本質とは関係のない女性の登場する場面が多くて、途中で居眠りしながら管理人は見ていることが多い。
 
 甲斐は常に周囲の信濃、武蔵、相模、駿河の四つの国からの侵入を警戒しなければならず、また、海のないやせた土地で特産物もなかった。その中で、無敵軍団を作り上げていくには戦略、戦術、戦法など構成する頭脳集団が必要で、その中心に山本勘助がいた。孫子の兵法からとった旗印「風林火山」は信玄の戦略を象徴している。疾きこと風の如く、徐--しず--かなること林の如く、侵椋--しんりゃく--すること火の如く、動かざること山の如しとテレビでは毎回冒頭に出てくる。

 戦いに対する心がけ
1--敵・味方の長所と短所を詳しく検討せよ。敵の地形、財力、人材などの情報を味方内で共有せよ。
2--勝ち過ぎに注意せよ。八分の勝利は既に危険であり、九分、十分の勝利は味方が大敗を喫する元となる。
3--四十歳以前は勝つことを、四十歳からは負けないことを心がけよ。

 軍団の長の心構え
1--部下の資質をよく目利きし、その能力に応じて適材適所に配置せよ。
2--あらゆる階級の部下の功績、失敗を大小上下、細かく公正に客観的に評価せよ。
3--部下に対する恩賞は、必ず功績に応じて行い、言葉に情を付け加えよ。
4--部下には愛情を持って接することが肝心と心得よ。
5--必要な時に怒り、部下の心を引き締めよ。

 人材登用で誤りやすい事例
1--油断のある人を落ち着いた人と見損なう。
2--軽率な人を素早い人と見損なう。
3--愚図な人を沈着な人と見損なう。
4--早合点な人を鋭敏な人と見損なう。
5--道理に暗くはっきり物の言えない人を慎重な人と見損なう。
6--思慮もなく一日中しゃべっている人を世慣れた人と見損なう。
7--信念のない人に限ってよく知りもしないことに固執して強情を張るが、これを負けず嫌いのしっかりした人だと見損なう。

参考--
1--井上靖風林火山新潮文庫
2--加来耕三「「風林火山武田信玄の謎」講談社