キャピタルクランチ

キャピタル・クランチ
 住宅ローン担保証券に投資するファンドは欧米では当初、銀行は関係がないとされていた。ところがファンドが資金繰りに行き詰まると親の銀行は与信の供与に追い込まれていたので、銀行はファンドを通じて大きなリスクを負ってしまった。銀行に負荷がかかりすぎると、日本のバブル崩壊と同じで貸し渋りが起こり、経済成長の足を引っ張るキャピタル・クランチの危険が高まっている。

 米国低所得者向け住宅融資であるサブプライムローンの焦げ付き問題で、米政府が主要金融機関と話して、ローンの借り手の一部を対象として、返済の金利を当初の低いままに据えおくことで合意に近づいている。

 低金利の期間を当初の2--3年から7年程度にすることが検討されている。同時に連邦準備制度理事会FRBでもさらなる追加利下げを示唆している。あれやこれやで四苦八苦している中に、オイルマネーで潤う中東の国々から銀行へ出資の話が出てきて、とりあえずの危機は避けられそうである。

 日本での場合には、政策金利の引き下げで銀行が長短金利差からの利ざやを出し、時間をかけて自己資本を回復する方法では限界がきて、棄損した資本を埋めるために大量の公的資金が投入されたことは記憶に新しい。この公的資金の代わりにオイルマネーが登場してきたということは、資本主義の本山へのオイルマネーの大々的な進出ということで、今後ドルの国際通貨としての地位が維持されるかどうか微妙なこととなってきた。

 先日開催されたOPECの首脳会議では、イランの大統領がドル紙幣を「価値のない紙屑」と発言して世界中に波紋を投げかけた。このような状態では1ドル100円を切るような事態まで予想している評論家もいる。20世紀の盟主であった米国が、やはり21世紀でもその威信を保持できるかどうかの瀬戸際に来ているのかもしれない。
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