限界集落

限界集落 国土の荒廃

 限界集落についてはこれまでにも取り上げてきているが、テレビで最近になって放映されだしている。65歳以上の高齢者が部落の集落人口の半数を超えて、冠婚葬祭や田畑の仕事、道普請などの社会的共同生活の維持が難しい状況に置かれている集落を限界集落と定義している。全国にはこのような集落が8000近くあり、そのうち3分の1は今後、数年で消滅の可能性があるという。
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 集落の崩壊が国土の荒廃に結びつく現象が、大雨や地震災害のたびに表面化してきている。40年前に国が進めた減反政策で、捨てられた田畑には林野庁補助金を出して杉の植林を勧めた。杉は成長して木材として将来価値を生むはずであったが、1985年のプラザ合意以来、急激な円高により輸入木材頼りになり、国内の杉林は伐採するどころか、高齢化にともなう人手不足も相まって放置されてしまった。

 日本古来の植生は7割が秋になれば落葉する広葉樹であったが、国が進めた人工林の8割は針葉樹の杉の植林であった。針葉樹は秋になっても落葉しないので、植林した杉は適度な間伐していかないと、表土に太陽光線が当たらないし、落ち葉もないので土地はぼろぼろとなってしまう。そこに台風などの大雨が降れば、土に水の保水力はないので、山間部に洪水をもたらし、しみ込んだ水は土砂崩れを引き起こす。腐葉土から出てくるはずの養分のない水は海に出て、魚や海藻などの生物を破壊してしまう。

 その上に、春になればスギ花粉で多くの国民が悩まされることになる。国の政策がもたらした国土破壊の影響は計り知れない。今からでも遅くはないので、針葉樹の植林を広葉樹へと変えていかなければならない。手間暇のかかる広葉樹の植林であるが、高齢者がまだ動けるときにはじめないと国土の崩壊は防げない。

 限界集落のことは山間部だけではなくて、静かに街の中にも忍び寄ってきている。すでに市町部でも小中学校の統廃合などにその現象が現れてきている。
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