万能細胞の研究

万能細胞の研究
 文部科学省京都大学に万能細胞の研究拠点を設置して、今後10年間で250億円を投じる方針を発表している。物質・細胞統合システム拠点として再生医学などの分野で世界最高水準の研究機関にするという。これはこれで結構なことと思うが、何か割り切れない思いを抱いている科学技術の研究者も多いのではないかと思う。何故ならば、今回の京都大学での研究成果は世界的にも、米国のサイエンス誌でも高く評価されていることは疑いないと思うが、このような事実が判明してから国が予算をつけるということが出てきたからである。
 
 科学技術創造立国をめざしている日本としては、生命に限らず物質とかエネルギーなどについても先端的な研究開発を行政として指導して、積極的に育成していくべきことがまずなければならない。そのような中から今回の成果が生まれてきたということではなくて、たまたま外部からその研究が認められたから、これの予算をつけて育成していくという発想だからである。

 ちょうどノーベル賞など海外からの賞を受けたので、日本でも認めて文化功労章や文化勲章を授与するというケースとよく似ている。このように書くと、文部科学省の担当官は、いや実は今度の万能細胞については、前から注目していてしかるべく予算措置をしてきたというであろう。このような官僚の後付けの説明は聞きあきるぐらい聞いている。

 科学技術予算の配分については各学協会にそれぞれの道の権威者と称される先生方が参集して、予算の分捕り合戦をして、その結果を文部科学省が追認することが未だに行われていると聞いている。これではなかなか新しい先端的な分野の研究開発が開かれることはない。今後ますます世界をリードする研究が日本から出てくることを期待している。
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