ブッシュ大統領

ブッシュ大統領の演説
 エール大学を出てハーバード大学MBA資格を取ったにしては、ブッシュ語と言われているような乱雑な英語をしゃべる人だが、今年は最後の一般教書演説だから専門家により周到に準備されたもので、言葉自体も内容も甚だ面白くないものだった。1年前は「経済は前進し雇用も維持されている」だったが、今年は「経済は不透明で先行き懸念がある」というもので意気が上がらなかったはずである。

    • State of the Union address
        • このサイトで右の上にある「Video(Windows)」をクリックすると、54分の演説を直接に動画と声で聞くことができる。途中の拍手や歓声も入っているから、アメリカ議会の臨場感を味わうことができる。テキスト付だからリスニングの勉強もできる。透明版に原稿は現れるが、語りかえるように演説し、読んではいないように演技している。

 
 就任の年の同時テロ直後の支持率が90%近くだったが、中東問題や国内問題に糸口を見いだせないまま、今は35%に落ち込んでいる現状を何とか打開したいと考えているはずである。その手段として選択したのが、これまでの強気一点張りの調子から、猫なで声の融和政策に向かうものと読み取れる。イランに対しても「ペルシャ湾でのアメリカの権益を守る」と述べただけで、これまでのイラン包囲網構築の呼びかけもなく、北朝鮮の核問題については言及すらなかった。

 米国経済とブッシュ政権が黄昏--たそがれ--時にかかっているとの論調が日本の新聞には見えるが、世界の平和と安定に重要な責務を担っている米国の大統領として、最後の1年に渾身の精力を注いで、内外の難局を切り開いてもらいたいと願望している。何もできないと、世界を混乱に陥れて、ドル経済の支配を終わらせた大統領として歴史に名を留める運命にある。
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