レイム・ダック

レイム・ダック
 残りの任期が1年未満となった時に、その責務にある人をレイム・ダック(lame duck)という。日本語では死に体という言葉が当てはまる。その地位にあっても、もはや誰も言うことを聞かず、当人も先が見えているので、やる気をなくしている状態である。現在、米露の首脳がその状態で、ロシアの大統領は5月7日、米国の大統領は12月までとなっている。


 ロシアの首脳はますます元気で、退任後も首相に就任することが決まっていて、レイム・ダックどころか事実上の院政を敷くことであろう。米国の方は、後任大統領の選挙中で大統領は身を持てあましているようで、しきりにお得意の自虐ネタを振りまいている。

 ホワイトハウスを訪問した松坂選手に「お互いに英語では苦労している」と、自分の英語能力を卑下して見せたのが、最近の傑作である。また、大統領を批判始めた共和党の候補者に対しては「私と距離を置きたがっている。彼だけでなく娘も出ていく」と近く結婚する娘を引き合いに、自身の状況を嘆いて見せている。また、有名なカントリーソングである「思い出のグリーングラス」にかこつけて、早くテキサスの故郷に戻って隠遁生活を楽しみたいなどとも歌っている。

 米露両大統領のように、レイム・ダック状態でも、それぞれに自分の立場や境遇を自分で認識して、対処できる場合は幸せである。ところがその状態になっていることは、周囲の人だけでなく、国民のほとんどが分かっているのに、当人だけが分かっていない振りをするほど辛いことはないと思う。

 暫定税率復活を再可決してからの記者会見での、わが首相の元気のないしけた顔を見て、果して力を受けて頑張ろうと思った国民はいるのであろうか。カラ元気でもいいから、明るい未来への展望を語って、国民とともに歩む姿勢を示すべきであった。
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