予算案作成のからくり

税金を如何にして使うか
 税金の無駄遣いが指摘されているが、役所側からみるとすべて事前に計画されて、最終的には国会で承認されてきた予算なのだから、何ら不都合なことはありえないことになる。梅雨は始まったばかりであるが、来年度の予算案作成準備は梅雨明けあたりから始まる。まさに霞が関から地方の末端の組織に至るまで、特殊法人も含めてすべての役所での予算獲得作戦の開始である。
 
 企業での予算はできるだけ切り詰めて必要最小限度にすることが求められている。少ない予算で最大の利益を上げることが必要だ。これに対して、役所ではとにかく予算案を前年度にくらべて増やすことが最大の眼目である。ポストは予算についてくるから、なんでもいいからプロジェクトを生み出し、予算のネタを作り上げることのできる公務員は優秀と評価される。だから、私のしごと館みたいな箱ものが出来上がるのである。

 本庁よりもこのような傾向はつぶされる危機感のある外郭団体の方が強い。ここでの幹部は予算を獲得するためには、その理由づけのための作文が作れる役人が珍重される。ありもしない事業計画を、誰が読んでもなるほどと思わせる作文ができなければ、その人はお払い箱となるか窓際となる。

 国連と共同開催などとうたっていた先日開かれたアフリカ開発会議などは、外務省が作りだした傑作であろう。準備段階で担当者は何回もアフリカ遊覧出張をしたはずだし、今後数年間にわたって1兆円近い金を投じることになる。この見返りに、国連常任理事国入りの賛成投票を獲得し、レアメタルなどの資源を獲得できればとの大義名分であるが、その両方とも確証はない。そんなことは役人とってはどうでもいいことで、アフリカというネタを利用して、もっともらしいプロジェクトができて、管理職ポストや外郭団体の天下りポストができればいいのである。

 幹部をはじめ、下っ端役人まで、税金だから公費だから節約して大切に使おうなどという意識はさらさらない。その逆で、予算を余したら、来年度の予算獲得に支障をきたすから、年度末の1ー3月には視察旅行や、どうでもいい道路工事が各所で行われるのはご存じのとおりである。

 夏を過ぎて、あまり芳しい予算のネタがないと予想されると、各所の経理部門では「何か良いアイデアがあれば、ご提案下さい」とでっち上げ事業の予算案作成のためにコンテストまで開かれるともいう。このようにして、最大限までに膨らませた予算を財務省に提出し、ここではさすがに、あまりにも杜撰なものは削られるが、一見おいしそうなプロジェクトは合格して、財務省がまとめた予算案として国会に提出される。ご存じのように、国会では毎年、たいした審議もせずに承認されてしまう。

 これではいつまでたっても民は報われない。ある年を期して、一度すべての役所を解散して、必要なものだけを新たに作る世直しをしないと、この国はいつまでたっても立ち直ることはできないと思う。1868年の明治維新から1945年の昭和維新まで77年を要したが、やはり50年から80年に一度は、すべてをご破算にしてシステムを組み変えなければならない。あるいは米国式に、大統領が交代したら、DCの官僚ポストが半数くらい入れ替わるようなことを導入すればよい。
 
http://iiaoki.jugem.jp/