大学の資産運用

アカデミックな資産運用
 今では感覚的に、兆円単位の話とは違って、億単位のことはたいしたことではないかもしれないが、金融機関のカモにされた大学には大問題であろう。全国約650の大学・短期大学のうち、少なくとも100大学がデリバティブ関連の金融取引を行っていたという。


 この状況では、新聞で伝えられている大学以外でも、資産運用では苦労していないところはないであろう。多かれ少なかれ現時点では損失を抱えて青くなっている担当者も多いようだ。

 大学が投資に走る背景には、文科省の第三者評価制度があり、この評価で給付金や補助金が決められるため財務状況の改善が求めらている、さらに格付け会社による大学の格付けがこれに拍車をかけている。格付けがブランドを決めて、学生募集や資金調達に影響するからである。

 学校法人には授業料、入学金、入試の受験料などが毎年必ずまとまった金が入ってくる。普通のところでは教育以外の事業に使うわけではないから、現金が貯まる。その上、土地や建物といった担保になる資産も保有している。堅実なところは銀行に預金しているだけであるが、金儲けに走る理事会もある。金融機関にとっては、学校法人のように、必ず定期的に金が集まる組織は上客であることに間違いない。

 米国の大学では基金運用の専門家が、資産運用を担当しているが、日本では経理担当者、そしてその担当者の上司が判子を押すためにいる程度であり、自分で運用計画を立てたり、商品選択をしたりするような専門的な能力があるわけではないケースが殆どだ。

 自分で運用を考えるわけではないから、「そこそこのリスクでいい利回りです」と取引金融機関に提示される案件を検討するという受動的な姿勢になってしまう。銀行の窓口で、毎月分配型の投資信託セールスに引っ掛かる高齢者とそう大差がない。うまい話を信じた方も悪いが、素人をカモにした金融機関はもっと悪い。
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