一太郎の運命

一太郎と98の終焉 
NEC98シリーズは1982年発売から15年間にわたり、総計2000万台という国民的パソコンであった。また、1985年に発売されたジャストシステムのソフト「一太郎」は日本語ワープロソフトの代名詞としてベストセラーとなっていた。

 98シリーズはすでにその役割を終わっているが、一太郎にも運命の日がやってきた。パソコンは15年前と比べると遥かに高性能のものが500ドルで手に入る時代になっている。

 ソフトはマイクロソフトのOSのウインドウズ95とともに世に出た「オフイス95」以来のワードやエクセルが世界を風靡してきている。このため、国産ソフトの一太郎は苦戦を続けてきたが、ついに身売りすることになった。

 一太郎は日本語変換機能としては、MSのワードよりも数段優れているし、今でも愛用者は多いが、世界標準の地位を獲得したワードに比べて、日本国内だけのソフトとなってしまった。縦書き文化という日本語の機能は素晴らしいが、この機能を充実させたために、世界的な規格からは離れてしまったという皮肉な結末となった。

 1995年をネット元年とすると、それ以前の世代の人には愛されたNEC98と一太郎の時代は過去のものとなってしまった。やがては、クローズドシステムをビジネスモデルとして成長してきたMS社も、オープンシステムとかクラウディング時代の到来とともに、消え去る運命かもしれない。IT時代の優勝劣敗は決着が速い。


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