首相の応援演説

都議選の応援演説

 モーレツな勢いで都議選候補の事務所を回っている首相であるが、その応援はマンガ風としか言いようがない。どこでも「きょう初めて麻生太郎をナマで見た人?」が第一声で、これで手を挙げさせて笑いを取るのが決まり文句である。これだから、ホンネでは来てもらいたくない候補者たちも多いのではないだろうか。


吉祥寺駅北口で行なわれた都議選に向けての街頭演説で、首相は北朝鮮と戦争をする覚悟を呼び掛けた。北朝鮮に関した演説の中で「我々は戦うべき時は戦わねばならない。その覚悟を持たなければ国の安全なんて守れるはずがない」と口を曲げて戦争の必要性や軍備増強の必要性を強調した。さらに「この国のスーパースターは天皇陛下だけだ」などと意味不明なことまで喋っている。


 この人の発言はかなり思いつきのことで、いちいち気に留めることもないのであるが、首相であることを忘れているのか、そうではなくて意識して力説しているのか、よく分からないが、やはり本音に近いことを言っていると思う。


 衆議院選挙の前哨戦とも言うべき首都圏を中心とした地方選挙が続く。6月14日の千葉市長選挙、7月5日の静岡県知事選挙、7月12日の都議会議員選挙である。特に都議会議員選挙は来るべき衆議院選挙の結果を占う重要なものと予想されている。気が気ではないのか首相は志願して、自民党全候補者の応援演説に出る予定という。


 経済問題、景気問題、財政問題、安全問題、環境問題、郵政問題など国際的にも国内的にも多くの課題を抱えている首相としては、競馬場に出かけたり、高級バーで酒を飲んだり、地方議会の選挙演説に出たりする時間などはないはずである。それとも、もはやその地位に見切りをつけたのであろうか。