鳩山論文とその影響

ネガティブ・キャンペーンの波紋

 選挙戦の終盤で自民党がしかけた民主党に対するネガティブ・キャンペーンの効果は、日本では有権者に殆ど無視されたが、米国では意外な反応が出されている。ホワイトハウスでは大統領報道官は「日本国民は歴史的な選挙に参加した。米国は友邦かつ同盟国として日本の新政府の発足を待っており、強固な日米同盟関係と緊密な協力関係は次期政権の下でも継続すると確信している。オバマ大統領は次期首相とさまざまな地球規模、地域ならびに二国間の課題について協力できると待望している」との声明を出している。米政府関係者や日本専門家の間では、民主党政権でも「両国関係に根本的な変化はない」との意見が大勢である。

 ところが、自民党の行った反民主党キャンペーンを取り上げているのが、NYタイムズWSJワシントン・ポストなどの有力新聞(鳩山論文)である。これによると、あたかも、鳩山氏はグローバリズム市場原理主義に反対する社会主義者のように書かれている。それだけ、日本の政権交代が大ニュースとして世界に発信されたことを表している。

 自民党との政策差別のために、自衛隊の海外活動、沖縄の基地問題、米国主導の世界経済政策などに対する民主党独自の考え方を提示した。これに対して、各新聞では、極論すれば鳩山氏は反米主義者と受け取られるような誇張された表現となっている。どこの国でも、メディアは誇張しなければ記事にならないから、当然のことであろう。

 日本でも親米の評論家は、これに対して懸念を示しているようであるが、政権交代は当たり前のこととなっている先進諸国では、日本もようやく普通の国になったとの評価もあり、これに伴う多少の意見の食い違いは当然のことと受け止められている。自民党の発したネガティブ・キャンペーンについても、やがて日米首脳の電話会談や交流が始まれば解消していくものと思われる。24日からピッツバークで始まるG20が最初の出会いである。
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