官僚が自民党を破壊した

見えてきた敗北の原因

 政権発足後、まだ1週間も経っていないが、新大臣の会見と自民党総裁選挙のドタバタを見ているうちに、どうして自民党が大敗したのか、その理由が見えてきた。自民党政権での新大臣就任会見では、すべての大臣が官僚の準備したペーパーを手にして、それを読み上げるだけで、質問に対しても、控えていた官僚に答えさせるような場面すらあった。

 これに対して、民主党政権では、首相をはじめ殆どの大臣が何も手にしないで、自らの言葉で挨拶していたし、また、自分で用意したメモを見る程度であった。また質問に対しても、自信を持って明確に答えていた姿は誰が見ても好ましいと思われるものである。国会の委員会でも、この状態が続くかどうかわからないが、官僚の手助けで答弁することは見たくない。


 自民党政権では、大臣はあまり勉強しなくても、すべて官僚任せで、質問作成から、答弁の作成までさせていた。これこそ官僚側が狙っていた政権支配の構図であった。要するに、自民党政権をスポイルしたのは、自民党議員のせいではなくて、官僚たちが仕組んだことだったように思う。実は官僚こそが今回の自民党政府崩壊の主要因だったのであろう。メモは官僚の作成した毒饅頭そのものだった。



 立ち直りの契機となる自民党の総裁選挙も、まるで気の抜けたビールみたいで、まったく迫力と熱狂が感ぜられない。実質的には河野氏と谷垣氏の争いであろう。谷垣氏が従来のパターンを踏襲して「こういう時こそ挙党体制で」と述べて、すべての議員を包括しようとしている。これに対して、河野氏は「小選挙区で敗れた老人はみな、ベンチから観客席へ移ってもらう」と勇気を持って宣言して、小さな政府で改革路線を協調していることに多少の救いがある。谷垣氏が総裁になれば、これまでと同じ体制が継続することになるので、自壊の方向へ進むことであろう。

http://iiaoki.jugem.jp/