国際会計基準

国際会計基準IFRS
 これについては、すでに新聞や雑誌でいろいろと報告されているが、専門外の人にはポイントが良く分からない。国によって会計基準が異なれば、企業業績を比較はできないから、これを国際的に統一することは理解できる。例えば、今月発表された三菱系銀行の連結決算では、米国基準での税引き後利益が1.5兆円の赤字であるが、日本基準では2500億円の赤字となるそうだ。



 欧米との会計基準を統一するため、欧州を中心に世界100ケ国以上で使われている「国際会計基準」について2015年を目標として、国内企業に義務付けようとしている。全上場企業約3800社の連結財務諸表が対象となる。希望する企業は2010年3月期決算から使うことも認められる。米国も2014−16年の義務化を目指している。これにより、国内外の投資家が海外企業と同じ尺度で日本企業を比較できるようになる。そして海外からの資金調達や企業の合併や買収が活発化するとの期待がある。外から投資家が見やすいことが目的となっている。
  
  細かいところは別にして、主な違いは二点あり、一つは利益の算出方法であり、もう一つは、企業買収や合併の時に発生する「のれん代」の処理の仕方である。日本基準では当期純損益の中には、本業からの利益である「営業利益」と株式などの運用益などの「営業外収益」がある。だから赤字決算と言っても、本業では黒字であるが、株の暴落で赤字になるケースがある。


  国際基準では、金融商品や土地などをその時の市場価格で評価し、日本の基準にはない包括利益を重視する。これは日本基準の税引き後利益に保有株式の含み損益などを加えたもので、株の持ち合いが多い日本企業では市場の動向に左右されやすくなる。


 のれん代とは、企業の合併や買収の際に、買収される側の企業が保有するブランドや人材などという目に見えない企業価値に支払われる買収費用をさしている。日本基準では、20年以内に毎期少しずつ減損処理するが、国際基準では価値が下がった時点で一気に処理することになる。


 その他、企業年金や持ち合い株式などの処理などあるが、導入されれば、国境を越えて企業の買収や合併が容易になり、銀行や生保などの役割にマイナスの影響を与えるが、個人の投資家には活躍できる場面が増加することであろう。
IFRS:International Financial Reporting Standards国際会計基準(アイファースなどという)
http://iiaoki.jugem.jp/