男の引け際

引け際の美学
 ノムラ語録まで出して、球界に君臨してきた74歳にもなる老監督の繰り言をテレビで聞いていると、あっぱれという気もしないではないが、日ごろ、野球道や人生を語っていることとは全く裏腹の行動だから、やはり老醜というべきなのであろう。長年、球界にいただけで、それほど名監督というわけではないであろう。つい最近まで、監督としては負け数のほうが多かった数字が示している。

 球団は監督に就任してから3年間、なかなか芽が出ないが、契約をもう1年だけ延長して温情を示したが、今季限りと契約で決まっていたことだ。たとえ好成績を残したからと言って、もう少し監督をやりたいというわがままは通用しない。年相応の人生経験を積み、分別もわきまえ、物事の理非も分かっているはずだが、言っていることは、これまでの語録と比較して、まるで筋が通ってはいない。

 試合に勝てば自分の手柄を解説し、負ければ選手個人を徹底的に批判する。ホームランを打ったが、お前に役目は違うなどと言われたら、誰でも頭にくるはずだ。今季の選手の頑張りは、監督の手腕ではなく、「もう少しで監督から解放されるという強い気持ちが原動力になった」と関係者も語っている。政界、官界、企業にも引け際でボロを出す人は多い。これほどまでに、あからさまにダダをこねる人も珍しい。

 マスコミがTV視聴率や新聞売り上げ部数向上のために、タレント上がりの知事と同じように、取り上げるため、当の本人はついその気になって常識とは外れたことを言ってしまう。弁護するとすれば、あり意味ではメディアの犠牲者ともいえる。
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