研究予算の使い方

科学技術振興
  資源のない日本では技術立国を目指すのは当然であるし、教育と言う無形の資源に投資することは重要である。旧政権でもこのことは良く認識されていて、1996年度に始まった科学技術基本計画では、5年間で25兆円という目標が作られた。その後の緊縮財政の中でも、福祉などが削られても科学振興費は削られるどころか、少しずつ増えていた。

 これだけの予算を使いながら、スパコンでは世界30位になるなど、その他の分野でも成果があまりぱっとしていない。この間のノーベル賞受賞の業績はすべて30年くらい前のものである。要するに、カネをつけても、研究の最前線である理工系国立大学の運営システムに問題があり、優秀な人材を育てることに失敗しているのだ。


  日本の国立大学では、依然として閉鎖的で学閥がはびこり、研究室は教授、准教授、講師、助手と序列が守られ、徒弟制度が未だに生きている世界だ。博士課程を経て助手や講師になって研究成果を上げても、論文には教授の名前が入り、若手は業績を認められない。創造的な研究をしようとしても、教授の許可がないと研究費も出ない。能力のある若手ほど、日本を飛び出して米国や欧州に流出してしまう。


  米国の大学、特にMITなどの名門私立大学では、どこの国の研究者でもすべて研究内容で評価されるから、次々と若手の研究者が輩出してくる。最近では、世界中から優秀層を集めるシステムも充実している。独立行政法人となっても、肝心の研究を支えるシステムが旧態依然とした状態では、いくら研究予算をつけても砂漠に水をまくようなものだ。
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