期待の20年へ

失われた20年
  1989年12月末の38915円という史上最高値をつけた日経平均株価から、ちょうど20年目を迎えた。当時の雰囲気を覚えている人も少なくなっているが、赤坂見附付近の喧騒さを懐かしく思い出す。あのまま成長を続ければ今頃は10万円の大台に乗るかどうかというはずであるが、現実はその10分の1である1万円台を年末までキープするかどうかという情けない状況だ。差額9万円が失われた20年の代償である。

   20年前の個人資産は総額930兆円で、その12%を株式が占めていたが、現在の総額は1450兆円と増加したが、株式資産比率は4%しかない。だから金融機関の口座には全体の20%である300兆円もの資金が冬眠を続けている。投資信託への比率は増加しているが、日本株を運用対象にした商品は人気がない。

 1949年の株式市場再開後40年は成長路線で上がりっぱなしだったが、その後20年間は下げ基調で推移してきた。これからの20年を成長路線へ引き戻すために、鉄鋼、自動車、電機に代わるエースを育てることが重要である。まずはそれらの旧産業を効率のよい生産システムに変えるために、周辺の電力、通信、運輸、金融などのサービス産業の効率をなお一層高めて、産業全体の投入コストを引き下げることだ。


  次になすべき課題は、これかの世代を背負って立つ新興産業の育成である。狙いは環境、国際、金融、資源、食糧、エネルギー、福祉、観光などのキーワードで代表されるものと、それらを結びつけて新たな新産業システム群を構築していくことである。個々の技術を生み出す力は優れているが、横断的にそれらの秘術を結びつけて新たなシステムやビジネスを生み出す力に我々は欠けている。それだけはなく、霞が関に存在する多くの規制を取り払い、市場競争環境を整えることも重要だ。すべて順調に運べば、財政赤字も半減し、20年後の2030年には4万円台の株価も夢ではないと思う。
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