先進国指導者の悩み

先進国を襲う指導者不人気
  ここのところ、米国のオバマ大統領、英国のブラウン首相、ドイツのメルケル首相、フランスのサルコジ大統領などそれぞれに難問を抱えて支持率の低下と不人気に落ちいっている状況は我が国と同じである。こうした20世紀の先進国の事情は、すべて経済財政問題にあることもほとんど同じである。

  この中で、最初に落ちたのが英国のブラウン首相である。ブレア前首相の財務大臣を長年務めてきたが、ポンドの下落に歯止めがかけられずに、失言問題も足を引っ張り13年間にわたる労働政権の幕引きをしてしまった。この次に危なかったのはわが首相で、7月に行われる参議院選挙にその命運を掛けていたが、早々と退陣することとなった。

  熱狂的な雰囲気で誕生したアメリカ大統領にとっても、今年の11月に行われる中間選挙では、敗北が予想されている。ネットを使った草の根市民運動で大統領のイスを勝ち取ったオバマ氏にとって、皮肉なことに、保守派市民が起こしているITを活用した草の根活動である反オバマの「茶会運動」が急速に拡大しているという。

   1776年の米国の独立戦争の引き金となった事件が、ボストン茶会事件である。英本国からの独立を目指していた住民たちが、1773年に英国が課していた重い茶税に反対して、ボストン港に停泊していた東インド会社の船から茶箱を海に投げ捨てた事件である。これに因んで反オバマ運動にしている。


   オバマ政権は税金による大銀行の救済や医療保険制度の改革で、大きな政府指向の経済政策をとってきたが、個人の独立志向が高いこの国では、自由がやはり重要で、保守派市民を中心として、TPM(Tea Party Movement)が中西部の白人層を中心として拡大している。この運動の主役はITで、ネット、メール、ツイッター、電話などの情報交換を駆使している。

   メルケル首相のドイツも、サルコジ大統領のフランスも、それぞれに難問を抱えている。21世紀は20世紀の先進国が後退して、BRICSなどの発展途上国が指導権を奪い取って行くことなのかもしれない。6月26日から28日まで第36回サミットG8がカナダのハンツビルで開催される。毎回のように主役が代わる日本であるが、新首相ははたして、どのように受け入れられるのであろうか。
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