救急車を追いかける人たち

弁護士の生きる道

  米国では日本と比べて弁護士の資格がとりやすく、人口一人あたまで比較すると日本の10倍いる感じである。だから事務所を構えて悠然とデスクにいるだけでは仕事は入ってこない。鵜の目鷹の目で仕事になりそうなビジネスを探すことになる。救急車が道に止まっていればヤジ馬に混ざって弁護士が紛れ込んでいる確率が高い。だから、英語では「Ambulance chaser」と言えば弁護士、特に、事故を嗅ぎつけて被害者には訴訟を勧め、加害者には弁護をかってでる悪徳弁護士を指す言葉である。他人の不幸は飯のタネになるわけだ。



  日本車の欠陥車問題をあれだけ大きなアメリカ社会を揺るがす事件に仕立て上げた陰には、表には出てこない多くの弁護士の存在が想定される。中には弁護士でチームを作り、問題を指摘して訴訟と弁護に分かれてゲームのごとく、双方からカネをとるビジネスまであると言われている。



  小泉―竹中の規制緩和チームは米国のこの仕組みを導入するために、司法制度改革と称して、ロースクール制度を真似て法科大学院を作り、陪審員制度を真似て裁判員制度を導入した。その結果、雨後の筍のごとく日本型ロースクールが誕生したが、まとものは30%程度で、後はいつ潰れてもおかしくはないものとなってしまった。



その上、弁護士資格を得ても、これだけで飯が食える人は50%程度で、夢にまで見た法律家とはなってみたが、せいぜい企業の法律担当として雇われれば御の字というありさまだ。今年も修習生の半分近くは就職先がないというし、修習生への国費負担も大幅に減らされる。弁護士になりたければ、せいぜいトイックで800点位を取り、グアム島の大学で米国弁護士資格を取得し、米本土で「救急車を追う人」を目指せばいい。

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