通貨の戦い

通貨安戦争

15年ぶりに円高となっている理由は、世界中で通貨安戦争が起こっているからだ。2年前のリーマンショック以来、各国経済は不況となり、どの国も景気刺激のために輸出に有利な自国通貨安を望んでいる。ドルと円の関係では、円を上回る勢いで米ドルの価値が下がると、どうしても円高に進行することは防げない。

  


  景気回復に遅れている欧米は自国通貨安を容認している。先日の日本の為替介入に対抗して、FOMC(連邦公開市場委員会)は追加金融緩和の声明を出して、ドル売り円買いの動きを容認している。中国に対しては、人民元の切り上げを求めている。これに対し中国は元の上昇を抑制するための為替介入を繰り返している。韓国、マレーシア、インドネシア、タイ、台湾の中央銀行もかなりのドル買い介入をしている。

  自国だけ通貨の価値を抑えて、輸出の振興を図る経済政策は長続きしないことは歴史が示している。10月8日にワシントンで開かれたG7では、各国が景気刺激のために輸出に有利な自国通貨安を望む「通貨安競争」の回避に向けて協調することで一致した。誰もがG7の協調が効果があるなどとは思ってはいない。来月にソウルで開かれるG20での主要テーマでとなる。日本としては、円高を読みこんだ経済金融政策を打ち出すべき時に来ている。

  

  米国はもっと自国の国力に自信を持って望むべきだ。人民元の切り上げで利益の出る米企業はあるかもしれないが、生活必需品など圧倒的に中国製品に頼っている現状では、それほど米国に恩恵が来るとは思えない。米国が最先端技術開発など世界のトップである時代はまだまだ続く。漸く、米財務長官もこれに気付いたようだが。
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