大学法人化第二期

大学改革
  国立大学の法人化は建前としては、大学の自由度を高めて教育や研究の効果を上げることだったが、行政側での本音は予算の削減であったことは周知のことだ。この結果、高等教育への支出は対GDP比0.5%となり、OECD諸国の平均1.0%の半額となって加盟国中最下位となった。そのしわ寄せは家計費負担の増大で、教育支出の51%という高いものとなった。因みに、米国のこの値は40%程度と言う。





   国立大学法人化を裏切られた改革と言う人もいるが、裏切られたのではなくて、法人化改革というのは予算と人の削減であることを読めなかっただけだ。改革を推進した大学関係者からは「大学改革のつもりだったのに、実際は行財政改革だった。国にはしごをはずされた」と怒る人がいるが、それは余りにもお人よしだっただけなのだ。


   法人化は第1期6年間を終えた。国立大学の運営費交付金は1.2兆円から1000億円減った。人文系教員数は6200人から10%減った。この間、私立では15000人から10%増加している。国立大学の科研費取得額は1000億円から30%増加したが、一部の上位校に集中している。論文数は63000件から10%減少した。論文の相対被引用度はアメリカに続く2位だったのが、中国に抜かれ、韓国にも猛追されている。

  来年度予算で法人化第2期の議論が始まっている。大学関係者はもはやこれまでのように国を頼りにするのではなく、自らの研究成果を基として人材や設備を獲得する努力をしないと、まずます先進諸国からおいて行かれるだけでなく、発展途上国の大学からも追い詰められていく。国を頼りにする予算措置のための戦略を構築するのではなく、自主独立の機運を盛り上げる努力をすべきだ。
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