北朝鮮の内部事情

北朝鮮で何が起きているか

  20世紀型の冷戦構造の遺物と思っている人も多いようであるが、北朝鮮の政治体制は、人民の犠牲の上に、金王朝の支配体制を維持していくためには、どうすればよいのかというところに最大の関心がある。このように見ると、過去の様々な北政府の約束違反についても、すべて説明ができる。

  

  評論家はもっともらしく、米国との直接対話で体制維持の約束を取り付ける目的で、核やミサイル開発をしているというが、米国にとっては、極東の吹けば飛ぶような国についての関心度は極めて低い。1951年の朝鮮戦争は、東西対立の代理戦争だったから、米国も引くことができなかっただけだ。


  米国が北朝鮮を潰すなどと言っていないから、問題を起こす真意は米国との対話ではなくて、権力を維持すること、権力の移譲に伴う体制維持だ。王朝を継承する3代目の息子に対する反発派と擁護派の争いで、今回の攻撃は擁護派が息子にはこれだけ力があると見せつけ、国内の引き締めに利用したわけだ。何よりも北の政権がいつも気にかけているのは、内部からの政権転覆の動きである。一番に怖いのは、20世紀の最後に起きた東欧圏諸国での民衆の蜂起である。


  北朝鮮の民衆の注意や関心を、手を変え品を変えて外部へ向けることにより、生活が苦しくても政権への直接的な不満は消えて、外部の米国や日本への敵対感情へと向けることができる。韓国哨戒艇の爆破や韓国領土への直接的な攻撃は、昨年から続いている自然災害による食糧不足やデノミの失敗による民衆の不満を韓国へ向けるための作戦であることも明白であろう。


  病をおして今年は2度も中国を訪問して、金王朝維持のために、世襲制に反対する中国に泣きついたのも、3代目を承認させるためだった。ここで言う金王朝という組織は、おそらく軍部と官僚からなる500人位から成り立っていると思われる。だから、もはや金日正氏の一存では何も決まらなくなっているようだ。金一族はあくまでもシンボルとしての役割である。こうして考えると、昭和初期から真珠湾攻撃にいたる大日本帝国の様相とよく似ている。

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