寄付の仕組み

寄付という行為
   日本では寄付といえば赤い羽根の類しか思い浮かばないのだが、アメリカでは寄付donationは日常茶飯事で、誰でもある程度稼いでいる人は寄付をするのが当たり前になっている。税制の違いにもよるが、米国では年間50兆円にもなる寄付であるが、日本では米国の100分の1である。
  

    米国に住み着いて、それなりにクレジット・カードなどでの支払いやパーソナル・チェックでの支払いで個人としての経済的な実績が出来てくると、不思議なことにいろいろと寄付のレターが来るようになる。寄付感覚のない日本人は当初は無視している。アメリカでは給与所得者全員が所得申告をしなければならない。毎年2月頃に来る所得申告の手続きをすると、初めて寄付の意味が分かってくる。

  要するに、ある程度の所得を稼ぐ人は寄付をしなければ、税金が増えるだけなのである。慈善団体などへ寄付をすればそれだけ税金がやすくなるという仕組みだ。アメリカの長者番付の上位にいる人たちは、MS社の創業者ビル・ゲイツ氏や投資家のウォーレン・バフェット氏に限らず、稼いだ金を積極的に慈善団体へ寄付することを個人でもしている。日本では法人が70%であるのに対して、米国では個人が80%となっている。

  稼いだ金は社会に還元するというキリスト教の根源思想がその背景にあるが、誰でも一律にある年齢になったら、保険金をいくら払うという硬直したシステムを破壊するひとつの手段として、この寄付という考え方があるように思う。

  米国の博物館や美術館でも入場料のないところがあり、いくら寄付するかと書いてあるから、いくらでもいいのかもしれないが、普通は5ドルとかを出したように記憶している。日本も柔軟なソフトな社会を実現していく方向をもっと考えてもいいと思っている。