日本の方向(1)

中国台頭の意味
   経済危機からなかなか脱却できずに、中間選挙でも敗北して困っている大統領を見透かした中国の戦略は、米国から航空機200機購入など総額4兆円もの商談で、人民元過小評価と人権問題を封じ込めると言うものだった。オバマさんまで「アメリカのモノをどんどん買ってちょうだい」と胡主席にゴマをする有様だ。米中G2は完全に中国の作戦勝ちだった。国賓待遇を人民元過小評価で貯め込んだドルで購入したものだ。

   25年前の1985年に日本は今の中国と同じような立場にあり、1ドルは260円で、円は過小評価だと言われて、貯め込んだドルで米国のものをどんどん買ってくれと言われていた。この年の9月22日 フランス、西独、日本、英国及び米国の大蔵大臣及び中央銀行総裁がNYのプラザホテルで会合を開き、円高容認の流れを日本は飲まされて、2年後には1ドル120円にまでなった。これでも日本の発展は留まらずに経済成長したので、米英が出した次の手が金融工学を駆使したバブル崩壊への序章だった。

   そして、ついに1968年に西ドイツを抜いて世界第2位の経済大国となった地位を中国に明け渡すこととなった。物価を考慮した名目GDP成長率だから、実質では成長していてもデフレ状態では低成長となる。中国のようにインフレ状態では名目はどんどん高くなるだけだ。実質で見ればそれほど大きな問題はない。それに中国の総人口が日本の1.2倍だから、まだ1人当たりでは10倍以上の差がある(続く)。