官僚社会の査察

ゴーゴリの描いた世界との類似性
  官僚機構というのはどこの国でも、昔から汚職と腐敗の巣窟であったことには変わりはない。現在の中国でもこの問題には悩まされている。1835年に描かれたゴーゴリの戯曲「査察官」は上演されるや、評判を呼びみな先を争って劇場に駆け付けたという。国が関係している企業とかダムなどの公共事業では、税金という甘い汁に群がって、官僚は天下りや税金の無駄遣いなど吸いつくすところは、法律上は許されているとはいえ、汚職と腐敗と紙一重のところにある。


  計画から57年も経過して、いまだにその姿さえないダム工事では、関連する約200社の企業に天下っている役人が数百人もいる事態も明らかにされてきた。要するに、ダムを完成させれば、天下り役人を受け入れる口実がなくなるだけの話みたいだ。ダム工事という虚構にぶら下がっている姿を想像するだけで気持ち悪くなってくる。


  倒産した航空会社では、さらに規模が大きく、その傘下企業は大小取り混ぜて500社と言われており、そこに天下っている役人はキャリアとノンキャリアを含めて1000人と推定されている。親会社から来る仕事の契約はその大部分が随意契約で、独占的に業務委託を受けてきた。親会社は絶対に潰れる恐れがないから、赤字はすべてのしかかってくる。まさに親方日の丸精神の航空一族ですべてが取り仕切られてきた。


  長年、積もり積もった税金の無駄遣いというシステムをすべて洗い直すことができるかどうか、新国土交通大臣ゴーゴリの描く査察官のように旧来のシステムに取り込まれてしまわないかどうかに注目が集まっている。
ゴーゴリ著「査察官」光文社古典新訳文庫 ¥680(岩波文庫などでは、検察官となっているが、これは誤訳)
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