グーグル対フェイスブック

ウエブ上での覇権争い

   グーグルGLがマイクロソフトMSのクローズド・システムに対抗して、オープン・システムで、検索エンジンという武器でウエブ世界の旗手を目指してから10年が過ぎた。今や、MSが独占していたOSやオフイス・ソフトまでフリーな世界を作り出し、最強のインターネット企業にまで成長してきた。検索というシステムからカネを生み出す方法として、連動型広告という手法をが成功の原点である。


  いまやGLには死角がないように思えていたが、彼らにもやはり穴があった。それは余りにもネットワークという数学的な手法にこだわりすぎた事である。この穴を埋めるがごとくネット上にユーザーをかき集め出したのが、フェイスブックFBである。FBの基本は友だちの輪ということで、六次の隔たり(Six Degrees of Separation)が基本的な考えとなっている。人は自分の知り合いを6人以上介すと世界中の人々と間接的な知り合いになれる、という仮説で、 多くの人数からなる世界が比較的少ない人数を介して繋がるスモール・ワールド現象の一例となっている。アラブ革命で実証されたとおりだ。


  GLはすべての情報をウエブに置くことで、検索可能な情報として整理してしまう。ウエブにない情報でもデジタル化してウエブに置いてしまう。本をスキャンし、地図をネット化し、市街景観をデジタル画像化した。メールもGmailというツールを提供し、GLの検索エンジンの範囲に入れてしまう。まさにウエブの王様として君臨する時も近いと思わせた。


  その間、ツイッターTWとかフェイスブックFBが5年ほど前から現れて、ブログよりもさらに手軽な単なる情報発信の手段と思われていた。誰でもどこでも見た事、聞いた事を手軽に発信できるもので、ビジネスでも効力を発揮しているし、携帯の繋がらない災害時には強さを発揮した。アフリカの民主化革命にも一役買ったことでFBは有名となった。TWと違ってFBには検索と言う数学的手段を駆使するGLとは違った人間関係という生臭い情報を結びつける要素があった。現実の人との関係、会社とか大学という属性だけでなく、友人とか恋人というような現実の人間関係をウエブ化したところに最大の特徴がある。


  さすがのGLもそのような人との関係には検索と言う手を伸ばす事が出来ない。これこそFBが狙ったウエブ上での位置づけなのだ。その上、FBにはMSのドル箱であるオフイス・ソフトをDOCSとい名称で取り込み、ソフトを購入しなくても利用できるようになった。もちろん、GLでもこれは同じように利用できる。そして、TWとFBとはともに、利用者が次々と開発できるアプリという機能があるので、如何様にも発展する可能性を秘めている。


   MS、GL、TW、FBと言う流れはさらに、次なるウエブ上のツールの登場を予感させるものがある。それは、検索で出てくる従来の知識に、人間の知恵や感性をつなげた創造的なツールで、未来社会を予測するものとなろう。
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