風評の伝染力

風評被害
  風評とか風説という言葉がある。後者は「風説の流布」という証券取引法197条に使われている法律用語である。有価証券の価格を変動させる目的で虚偽の情報を流す事で、罰則規定がある。風評被害は存在しない原因や結果による虚言や噂話による被害のことだ。多くの例では災害、事故での不適切又は誤報により、生産物の品質低下やまったく存在しない汚染などを懸念して消費が減退し、原因と関係のない他の多くの業者まで被害をこうむるケースだ。
  

  うわさ話の伝染力を考えてみたい。ある朝の8時にある人が情報を知ってから30分後に2人の友達にその話をした。それぞれ30分後に2人の友達に話を伝えるものとする。そうすると、8時には1人、8時半には(1+2)人、9時には(1+2+4)人となり、12時間後には、その話はどれくらいの人が知っていることとなるか計算したい。この間に30分は全部で24回あるので、答えは、1+2+4+8+・・・+2^24となる。ここで2^24は2の24乗を表している。等比級数の計算だから、公式に従えば、33,554,431人となる。ざっと日本の人口の4分の1である。

  この場合、1人の人が2人にだけ話すとしたが、これを3人とすると、10時間後には50億人を超えて世界人口に近づく。噂話の伝染力は巨大な速度を持っている。311以降、3月末には、東京から外国人の姿が8割消えた。また、日本製品放射線物質が付着していると全世界の5割の人が感じているという。このような風説を払拭するには、正確な情報を素早く発表することである。これしか道はない。