米国債の信任低下

米国債揺らぐ

   国債に対する市場の信認をみる指標として、長期金利CDSがある。前者について、直近では日本は1.07%、米国は2.95%、ギリシャは21.5%となっている。これが高いと信用が低いことになる。何故ならば、高い金利を出さないと国債の引き受け手がない事から、価値が低い事となる。後者はCredit Default Swapで、財政破綻のリスクを反映する金融商品である。国債社債などの発行体が破綻するリスクを取引の対象とする。投資家は取引で保証料を投資銀行に払い、債務不履行となったら、損失の穴埋めを受ける仕組みだ。発行体の信用度が低いほどCDSの料率が高くなる。現在、日本は0.90%、米国は0.55%、ギリシャは23.3%となっている。

   オバマ米大統領与野党による抜本的な財政再建に向けた協議が決裂した状態で、8月2日には米国債の利払いができないデフォルト(債務不履行)に陥る可能性が出てきた。とりあえずは、財政再建策を小規模なものにする妥協案をまとめて米連邦政府の総債務残高上限を引き上げ、デフォルトは避けられるだろう。しかしながら、抜本的な財政再建策がなければ米国債が格下げされ、世界の金融市場が混乱する。大統領は記者会見で与野党の議会指導部に対し、「時間切れが近づきつつある」と述べ、デフォルトの回避策を提示するよう強く求めている。

   現時点でのCDS順位は、カナダ、独、米国、英、日本、中国、仏となっている。今年の初めには、米国がトップだったから、すでに米国債の信認度はかなり低下してきている。来年には大統領選挙が控えているので、共和党としては、この際、できるだけオバマ大統領の格付けを低くしておきたいと言う魂胆である。だから、そう簡単に大統領の提案を飲むわけにはいかない。まさかこのまま債務不履行になる事はないと思うし、そう願いたい。