データの読み方1

データの信頼性


   さまざまな放射線に関するデータが飛び交っている。それらのデータの信頼性について、品質管理の古典的名著であるシューハート先生(1891-1967)の「品質管理の基礎概念」に記載されている先生の原則に照らしてみる。
  
  データを考察するときに、少なくとも次の4つの重要な留意点がないと、そのデータは科学的な検討に値しないとしている。即ち、1)測定数値を表す数字とその桁数、2)測定が行われた条件および測定操作を記述する内容、3)観測者の人間的要素、4)数値の時系列的な順序、という4点である。

  これらのことは、結果を解釈する場合に慎重に考慮されるべき事で、このようなことに対する記述のないデータは、単なる数字の羅列に過ぎない。福島原発事故以来、専門家も素人もシーベルトとかベクレルという単位の付いたデータを不用意に並べてきているが、はたしてそれらのうち、先生の原則に照らして、どの程度が本当に科学的な吟味に耐えるデータなのか分からない。


*W.A.シューハート著「品質管理の基礎概念」岩波書店、1960年初版発行
原著:W.A. Shewhart, Statistical Method from the Viewpoint of Quality Control,1945

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