東京五輪にこだわる人

五輪開催立候補2020

  2012年ロンドン、2016年リオデジャネイロに続いて、2020年の夏季五輪開催地に立候補した都市はローマ、マドリードイスタンブール、ドーハ、バクー、東京の6都市だ。過去に開催経験のない都市が選ばれる傾向にあるから、ローマと東京は難しいであろう。それにしても東京の誘致テーマが「東日本大震災からの復興」というが、それならば東京ではなくて仙台で開催するのが相応しいと誰もが思うであろう。東京が復興のシンボルなどと言えば、被災地から見れば、勝手に震災を利用するなという気持ちであろう。


  都がそれほどに震災復興に拘るのであれば、現在、5000億円もある五輪基金を被災地支援や原発事故による放射線対策に利用してもいいと思う。都や知事はこの資金は使途が決まっているからというが、条例を改正すれば、そんな理由は通用しない。その上、政府の中央防災会議は、東京湾北部地震とか、多摩地区断層直下型地震の危険性を公式に指摘している。そのために、さまざまな防災対策を進めなければならないはずだ。


  放射能汚染でも東京は無縁とはいかず、民間からはかなりホットスポットのデータが公表されている。今から10年たっても東京から200キロメータにある福島原発の影響は残っているし、地震津波放射線汚染などの危険性がある東京で開催する事を選択するIOC委員はよほどの物好きでないといないであろう。

その上に、2018年には冬季五輪開催が韓国の平昌に決定している。夏冬の違いがあるとはいえ、同一大陸で続けて五輪が開催される事は99%あり得ない。早々と、2020年の計画から撤退して、カネを有効に使い、どうせ無駄になる資金を福祉厚生に回すと言う良識ある判断をするのが、先のない都知事としての最後の役割であろう。