予知は可能か

地震研究の内部告発
  地震予知は不可能と、これまでにもたびたび当ブログでも指摘してきた事が、内部告発の形で東大理学部の米国人教授によって本として出版された。地震予知地震学者、官僚、土木や建築学会、関連する業界が作り上げてきた膨大な予算獲得のビジネスだったのだ。毎年500億円もの予算を獲得するためには、東海、東南海、南海の三連動地震が発生するという脅しをナショナルプロジェクトにまでに仕上げなければならなかった。
  
   1978年に「大規模地震対策特別措置法(大震法)」が制定されて、地震予知が法的に裏付けられた事がすべての始まりだった。この法律に従って、東海地震の想定域などを「地震防災対策強化地域」とした特定の地域に偏った防災対策などが予算化された。その結果が、政府の予知連が全く想定していなかった311大地震だった。

   その本はロバート・ゲラー教授の「日本人は知らない地震予知の正体」(双葉社)である。国の地震調査委員会の委員長である東大地震研究所の阿部教授は「大地震は日本のどこででも起こりうる」などと無責任な発言を繰り返している通りである。地球の構造に関係する地震が起きるプロセスは複雑系で、いつどのように発生するか予測するのは不可能とゲラー教授が指摘している。予知にかける予算は、国民の生命と財産を守るシステムに使い、防災教育、耐震補強などに回すべきだとしている。もっとも、地震予知ばかりに予算が付く事に対する反発もあるだろう。