円高の原因と是正法

円高の理由と解決策
   米国FRBバーナンキ議長はコロンビア大学教授時代に、バブル崩壊後の日本の金融財政事情を研究していた事はよく知られている。1953年生まれだから58歳になる。大学進学適性試験SATでは1600点満点で1590点をとって、ハーバード大学に進んだ。卒業後はMITで経済学博士号を取得している。各地の大学を回って、2006年2月に、グリーンスパン議長を継いでFRB議長に就任した。その直後から、日本のデフレ状況を批判して、日銀はもっとカネを出せと言っていた。
   

   ゼロ金利下でデフレ克服に向けて有効な金融政策を打ち出せない日銀を強く批判していた。さらには、デフレ克服には、「ヘリコプターからカネをバラまけ」などとも言っていた。この政策を実現する機会が米国にもきた。サブプライムローン破綻から、2008年9月のリーマン・ショックを経て、米国経済も1989年に経験した日本のバブル崩壊と同じような危機に陥った。これに対してFRBは次々と量的緩和策を打ち出して、ドルを大量にばらまいた。その結果、確かに、日本のようなデフレに陥ることを避けることができた。ドル余りで原油価格の上昇、途上国のインフレなどの後遺症は出ている。

   米国でもインフレ率が3%程度に保たれ、FRBは勝利宣言まで出した。実質金利はこのインフレ率を差し引いた金利だから、デフレの日本では名目金利よりも、デフレ分だけ上乗せされて実質金利は高くなる。だから、米国の実質金利はここのところマイナス3.5%前後で、日本の金利は米国よりも実質4%も高くなっている。実質金利が高いことは、円による預金や国債などの金融資産の価値が高いことを意味する。だから、内外の投資家はドル売り円買いで、超円高を引き起こしている。

   バーナンキ議長が勝利したかのように見えるが、それでも米国の失業率は平均10%で、このままではオバマ政権の存続すら危なくなる。そこで、さらにQE3を打ち出せば、1ドル70円を切る可能性まで予想される。その上、増税が重なれば、企業は海外へ逃げ出して、日本でもさらに失業率が上がる。日銀の金融政策が問われているのだ。いつまでも白川理論に拘ると、取り返しのつかない事をしたバカ総裁の汚名だけを残すことになる。円高是正は日銀総裁の頤使のもとにあるのだ。
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