為替と通貨

通貨発行量と為替
   通貨も財だから、流通量を増やすと価値が下がり減らせば上がる。基本的な経済学の需給関係だ。2008年9月のリーマン・ショック以降、1ドルは115円から76円と円高が進んできた。為替レートは国の信用状態や経済状態を反映しているものと思うが、米国と比べて日本の状態がそれほどに投資家から評価されているとは思えない。そうなるとこの超円高は、通貨の流通量という物理的なものに依存していると考えてもおかしくはない。

   事実、3年前と比べると、ドルの発行量は2.5倍となっているが、円は1.1倍程度でかなりの差がついている。日銀としては、円の発行量はバブル崩壊以降、かなり増加しているからという理由で、発行量を抑えているみたいだ。日銀以外にも財務省円高対策として、一時的には円売りドル買いをしたり、外貨準備を使い国内企業の海外投資の促進を図ったりしているが、その効果は限定的であることは否めない。

   このままだと、輸出産業にとっては、国内での生産には限界があり、韓国、中国、東南アジア諸国への移転が進み、国内の空洞化が進み、失業率が高くなる事は目に見えている。すでに、資金は潤沢に国内にあるが、民間での投資意欲には限界が来ているため、カネの使い道がない事も事実だ。バナナは今では安くなり、これ以上いくら供給しても、売り上げには限界があるのと似ている。過去20年間もデフレ状態が続いているのも異常であるが、これに対して日銀が無策だったのも異常と言わざるをえない。想定されている物価上昇率は1〜2%程度と思われるが、実際には0%以下である。
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