役人言葉で目くらまし

社会保障制度を理解する
     本来、国民の税金で賄われている公務員は社会への奉仕の精神が根底になければおかしい。ところが、どう見ても彼らのしてきたことは、国民の目をそらしたり、騙したりすることに熱心に見えてしまう。社会保障制度を理解するのは国民にとっては難しい。その理由は、国民にとって不都合なことはできるだけ情報として提供することを避けるからだ。少子高齢化が進み、財政赤字が増大する状況での社会保障制度の改革は、国民の負担増、支給や給付の削減など、できるだけ直接に国民に伝えたくはないからだ。


     そのために、彼らが使う用語は直接的ではなく、マクロ経済スライドとか自動調節機能などという用語を使い、このようなもっともらしいネイミングで内容を糊塗しようとするから、一般の人には理解しにくくなる。年金財政を維持して行くためには、負担増や給付削減をしなければならないが、このような直接的な表現では、当然に拒否反応が出てくる。それを避けるために、マクロ経済スライドなどという分かりにくい言葉を作り上げる。

    さらに、用語だけではなく、表現の仕方も抽象的で具体性に乏しい。あまり直接的で具体的な表現では、何か予想外のことが起きた時に対応できなくなるから、できるだけ様々な意味に解釈できる表現を採用するのが役人の常套手段である。「自助・共助・公助の最適バランスに留意し、個人の尊厳の保持、自立・自助を国民相互の共助・連帯の仕組みを通じて支援していくことを基本に、・・・制度を構築する」などという表現を多用して、逃げ場をいろいろと構えておくことが役所の手法として使われている。