非関税障壁

関税と非関税障壁 
TPP問題

   TPPでは貿易の関税を撤廃することだと理解している人が多いが、そうではなくて、実際には非関税障壁をなくして行こうと言う方が正しい。1955年ころの東京では大型の米国車をよくみかけて、子どもたちがビュイックとかキャデラックとか通る車の名前を口にしていた。今ではこれらの米国車は米国大使館の傍にでもいかないと殆ど見かけることはない。これは関税が高いからではない。完成車に対する日本の輸入関税は1978年に撤廃されたので、車に関しては世界で最も開放されているのだ。


   乗用車の輸入関税は日本では0%であるが、米国では2.5%、EUでは10%、韓国では8%となっているから、日本からみると不公正関税の代表みたいなものだ。ところが、TPP参加の米国との事前交渉で、米通商代表部USTRでは日本との関係では、自動車市場、牛肉、保険市場の3分野が最も重要だと述べている。牛肉と保険はさておいて、関税がゼロの自動車がどうして問題なのか不思議な気がするだろう。これが非関税障壁の問題と米国はいう。


   関税はゼロだが、インターネットを使って米国車を直接輸入する場合にかかる費用は、運送料、通関料、車検整備料などがかかるから同じ車格の日本車よりも高くなる。その上に、アフターサービス、パーツ類の問題などが存在する。これらをすべて非関税障壁NTBという。もっとも、我々一般日本人から見ると、特別の趣味がある人を除けば、米国車に対する様々な印象から例え車格レベルが同じで価格が安くても、わざわざアメリカ車に乗りたいとは思わないだろう。

   その他、米国からみるとNTBには様々なものがある。遺伝子組み換え作物、医薬品、労働力の自由化、混合診療の解禁、皆保険制度の撤廃、言語障壁などである。これらについては別の機会に譲る。特に最後の言語障壁については日本語がそうだと言われたら、これは当然受け入れられない。
*NTB:Non Tariff Barrier