増税より財政出動

増税より財政出動

増え続ける社会保障費対策

  「社会保障費の自然増に対応するには消費税増税しかない」と首相は国会で答弁を繰り返している。財務省、経済学者、大新聞社説などすべてこの論調だから、国民も増税は致し方ないと信じ込まされてきている。かたや社会保障費は高齢化の進展とともに限りなく増加して行く。これをすべて増税で賄うには消費税は30%でも足らなくなる事は明らかだ。だから、初めに述べた首相の答弁はその場しのぎの破綻論理である事は、当の野田さんもご存じのことと思う。ここまで来ると、今さら方向転換すれば政権は崩壊する事も分かっているから、道は増税路線しかありえないことも理解できる。

  

  財政赤字が千兆円では、ギリシャよりも酷いから明日にでも財政破綻するかもしれないとも野ダメさんは考えているみたいだ。何しろ年度予算のうち金利分だけでも毎年20兆円も積まなければならないからだ。ところが、実態をみると、昨日の日本国債長期金利は0.84%だから、その信用度はG8先進国でも飛び抜けて超安定債券なのだ。ドイツが2%で、アメリカも3%だ。国債が海外に出ないで殆どが国内に留まっているから、現状では絶対にギリシャにはなりえない。また、ギリシャと日本では人口が10分の1、GDPが30分の1だから、そもそも比較するのがおかしい。ギリシャの輸出品は農作物、海産物、衣類など雑貨で、これまた日本とは比較にならない。おまけに政府にカネを貸している貸主は日本の国民だ。


  それでも、ある日、国内にある国債が海外に流出し、長金金利が上がりだす懸念は皆無というわけではない。何もしなければ数年でそのような事態が来ることも予想できる。だから、今、政府が取り組むべき最大の課題は財政出動でデフレを止めて、経済成長路線へ舵を切り替えることだ。これはこの20年間に行った緊縮と積極の財政政策を見れば、説明する必要もないくらい結果は明瞭だ。デフレ下で増税することなど狂気の沙汰で、積極財政に出れば、自然と税収が増えて増大する社会保障費も賄うことができる。いま増税すれば税収は落ちて、ますます苦しくなることは目に見えている。世を治め民を救う哲学が今こそ求められているときはない。