グローバル化のもたらしたもの

グローバル化のもたらしたもの

   SNSを中心としたネットの普及はグローバル化をますます加速している。グローバル化は人々がすべて豊かになって幸せとなる道ではない。トヨタ自動車が、12年上半期(1〜6月)の世界販売台数で2年ぶりに首位に返り咲いたことが報告されている。半期の販売台数497万台のうち、日本国内での生産はほぼ3分の1だ。このようにグローバル化の主役は多国籍企業であることが分かる。途上国の安価な労働力を活用して、先進国にとっては比較的に安価な製品を生産して世界市場でビジネスを展開する。

   

   かくして、先進国には安価な途上国の製品が流通するが、賃金の高い先進国の労働者は仕事を奪われて行く。途上国は経済発展を遂げて南北経済格差は縮まり、世界はフラット化する。この結果、先進国では少数のエリート層の勝ち組と負け組の貧困層に二極化して行く。国内では年収200万円以下が1000万人を超え、年々生活保護世帯数が増加している。

   グローバル化で地球はフラット化するが、途上国でも同様に貧富の格差が拡大していくので、それぞれの国では格差の問題が深刻化する。先進国では格差が拡大して貧困層が増加し、これまでのような福祉政策は財政的に困難となる。このようにグローバル化は避けることができないが、先進国にも途上国にもそれぞれ違った問題が起きている。EU危機の本質はグローバル化にあり、これを制御しない限り解決の方向が見えない。
Ads by Google