エネルギー政策1

日本のエネルギー政策(1)

   先のロシアでのAPECのエネルギー分野宣言で、原発については、知識などを共有し、クリーンなエネルギー源としての原子力の安全な利用が謳われ、核の平和利用について加盟国間での協力を強化することが宣言されている。IAEAよれば、世界全体で現在450基ある原発が、2030年までにはさらに350基は増加する見通しとなっている。原発を売り込みたい国と、積極的に導入を急ぐ国々双方の思惑が一致している。

   

   これには日本も賛成して調印しているのだから、政府の打ち出している2030年末までに原発をゼロにしたいという政策とは全く相反している。このような矛盾した政策を提言する政府は全く信用できないし、国際的にも信頼されないだろう。今から30年後では、これから原発の新設はないとすれば、原発による発電量は10%程度に落ちているから、エネ政策を閣議決定などと騒がなくても、いつでも原発ゼロにすることが可能なのだ。


   電力供給を低コストで安定的にすることは、日本の生活を守り、産業を維持発展させるためには欠かすことはできない。このことは雇用や新産業を開発して行くためにも必須の条件だ。化石燃料のほとんどを中近東からの輸入によっている日本は、いつもその供給体制と価格の不安定に悩み続けなければならない。太陽、風、波、地熱などの再生可能エネルギーは調達効率が低いために、高コストになることは避けられない。この分野で先進国のドイツでも、再生エネの限界が分かりだし、幻想を抱いては失敗するとの論議が出始めている。