平和主義者が戦争を起こす

チャーチルの言葉
1.1938年9月のミュンヘン欧州首脳会議で、ヒトラーの恫喝外交に屈して、チェコズデーテン地方をドイツに割譲したことが第二次世界大戦のきっかけを与えた事はよく知られている。これに味をしめたヒットラーは翌年ポーランド侵攻を始めた。これに対して英仏は漸く宣戦布告を決心したが、1年足らずで仏は降伏した。

2.歴史のイフを言えば、この会談で英仏が断固としてヒットラーの要求を戦争も辞さないとの決意で拒否していれば、その後の展開は大きく変わったはずだ。その後、英国の首相となったチャーチルは「平和主義者が戦争を起こす」と喝破している。当時、ハーバード大学の学生だったJFKケネディーはこれで卒業論文を書いた。

3.1962年のキューバ危機に際して、大統領だったケネディーはソ連キューバにミサイル基地を建設する計画を察知して、その中止を求めて全面対決をした。当時、学生だった私は第三次世界大戦を覚悟した。敢えて核戦争も辞さないとのケネディーの強硬姿勢に、フルシチョフは譲歩して後退した。

4.このケネディーの断固とした姿勢が、その後、米ソ間の危機管理の重要性が認識されて、両国首脳の間にホットライン直通電話が設けられて、やがて両国は核軍縮へと雪解けの方向へと進んだ。誰しも戦争は望まないが、ならず者に対して妥協や宥和で対処すれば、益々相手に付け込まれる事は歴史が証明している。